数少ない日本製の「手巻き」機械式腕時計

ネルの裏蓋を開けてみると、非常に複雑で精密な機械が入っています。これは日本製の機械式手巻きムーブメント(駆動装置)です。 フランネルフラワーの白い花びらをイメージしたシンプルなデザインからはちょっと想像がつかないメカニックさですよね。

すでにネルをお持ちの方も裏蓋をご自分で開ける機会はないと思いますので、ケースの中でどんな風に動いているのか、動画を是非ご覧ください。

今日は、その手巻きムーブメントのお話です。

半世紀以上経った傷だらけのアンティークウォッチのリューズを巻いて、思いがけず針が動き出した瞬間、「 生きてる!」 とあらためて機械式ムーブメントの素晴らしさに感動してしまうことがあります。
「機械式」とは、電池で動く「クォーツ式」ではなく、ゼンマイを巻いて動く時計のこと。

その巻き方は2種類あり、リューズを回して巻くのが「手巻き」、腕の動きにより内臓されたローターがぐるぐると回って自動的に巻き上げるのが「自動巻き」です。

「自動巻き」の機械式腕時計は幅広い価格やデザインのラインアップを見ることができます。

一方、「手巻き」の機械式腕時計。
アンティークの小さなレディースウォッチでは「手巻き」が主流で、女性の愛好家が多いですが、現代の新しい時計には、そのような小さな「手巻き」時計の姿はなく、ミドルサイズですら多くは見かけません。利便性、正確性を求められた時代を経て、「手巻き」のムーブメントは「自動巻き」に比べ、種類も少なくなり、国内メーカーでは現在ほとんど製造されていません。そのようなことから

今、国産の「手巻き」ムーブメントがとても少なく、段々と入手が難しくなっています。

であれば「自動巻き」でよいのでは?と思われるかもしれません。ですが、「手巻き」ならではの魅力もあります。

構造的な魅力としては、「自動巻き」はゼンマイを巻く大きなローターが組み込まれているので、時計のサイズも大きくなり、厚みや重さも出てしまいます。その分「手巻き」は薄く小さくできるので女性向きだと言えます。
そしてなにより「手巻き」を好まれる人は、自分と時計とのつながりに魅力を感じているに違いありません。Time&Bouquetのネル(Nel)があえて「手巻き」を選んだのもこの理由です。

リューズを巻いて時間が動き出す瞬間を目にすると、何かが始まる感覚、命を吹き込んだ感覚を覚えるかもしれません。きっとそれは機械式ムーブメント特有の細かく流れるような針の運び方のせいでもあるのでしょう。

あえてりゅうずを手で巻き上げるという手間をかける事で愛着が深まり、永く大切に付き合っていける。
そういうモノと向き合う時間を愉しむことのできる心豊かな生活はとても魅力的です。

近年、海外の高級時計ブランドから薄く高精度な「自動巻き」ムーブメントが開発され、ジェンダーレスな新作腕時計が数多く発表されています。このトレンドからも今後、機械式の腕時計を手にする女性が多くなってくることでしょう。

クォーツよりも自動巻よりも歴史の長い、始まりの時計。
現代ではとてもアナログだけれど、自分を愛しむことができるアイテムとして、数少なくなった日本製の「手巻き」機械式時計を一つ持ってみるのはいかがでしょうか。

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